ふるさと納税の功罪

化学工業日報 2025/08/29 1頁 546字】

 北海道・根室本線沿いの白糠町。今から40年以上前の大学時代の夏休みに訪れた目的は、国鉄再建法を受けて特定地方交通線の廃止第1号の白糠線に乗ることだった。 当時1万4000人の人口は減り続け、現在は半分の7000人 ▼そんな過疎の町だが、意外にもふるさと納税の寄付額上位の常連。 いくら、サーモンなどの返礼品が人気を集めており、2024年度は212億円が集まった。 人口1人当たり300万円にもなる ▼寄付の使い道の一つは子育て。 「子育て応援日本一のまち」を掲げ、18歳まで医療費は無料、保育料・給食費も無料とするなど手厚い支援体制を敷いている。 移住する家族を増やして町の活性化につなげたい考えのようだ ▼人口流出によって税収減少に悩む地方自治体に救いの手を差し伸べる目的で創設されたふるさと納税。 豪華な返礼品目当てで寄付金は増え続け、全国合計は2年連続の1兆円台となった。 財源が潤う地方の自治体がある一方で、住民税控除によって税収流出が続く都市部の自治体もある ▼返礼品あってのふるさと納税だが、調達費用を含めた経費の増加が問題視されている。 受入額に占める比率は規定の上限5割が目前。 仲介サイトに支払った手数料は合計1656億円にのぼる。 このような使われ方は「納税者」も本望ではなかろう。 (25・8・29)


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