東レエンジ、先端半導体実装技術を開発

化学工業日報 2025/08/29 4頁 734字】

 東レエンジニアリングは先端半導体量産に必要な実装技術として、業界最高水準のスループットを実現したレーザー転写技術を開発した。極薄チップのハンドリングを従来比10倍以上の効率で行うことができる。 今後、ポスト5G情報通信システムで用いられる先端半導体が量産化される2030年代以降を想定して製品化を進める。 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発事業として実施した。

 ポスト5G時代には広帯域幅メモリー(HBM)やブリッジチップなどの先端半導体が必要とされ、さらなる高性能化と低電力化を実現するためにチップを極薄化することが求められる。 しかしチップ厚を20マイクロメートル以下にすると、ハンドリング時に歩留まりが大幅に低下することが課題となっている。

 同社は高精度レーザー加工位置制御技術と、レーザー転写プロセスに最適化したレーザー工学系を組み合わせることにより、微小なレーザー光をチップ端部から順に照射することで、極薄チップを高い歩留まりでキャリア基板から剥離し、キャッチ基板に転写するスキャン方式を開発した。 転写位置精度と歩留まり、スループットを業界最高水準でバランスさせることに成功した。 従来技術では、対象となるチップの厚み、チップサイズに対する柔軟性、プロセス時間のいずれかに難があった。

 同社はチップサイズ5ミリメートル角、10マイクロメートル厚の半導体チップを用いて実証試験を行い、精度プラスマイナス2マイクロメートルでダメージを与えることなく転写することに成功した。 また厚さ1マイクロメートル以下の化合物チップの転写とシリコン基板への接合にも成功している。

 今後は同技術の改善を進め、半導体メーカーなどとも連携しながら実用化に向けた取り組みを進める。


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