記者の思いはどこに?/新聞の読み比べで知る震災

中部経済新聞 2025/09/02 特集 12頁 638字】

 新聞記者は、どんな思いを記事に込めたのだろうか―。兵庫県姫路市立豊富小中学校は、全国の子ども新聞に掲載された記事を読み比べたり、記者から直接話を聞いたりすることで、情報の背後にある記者や編集者の思いを考える公開授業を行った。

 授業には小学6年生の児童24人が参加。 東日本大震災の被災地の現状や課題について、岩手、宮城、茨城、静岡、福岡など各地方新聞社が掲載した記事を題材に、グループで話し合った。

 子どもたちは見出しや写真、レイアウトの違いを指摘した上で「記事で子どもの写真が使われているのは、大震災を知らない子どもに震災を自分事としてとらえ、知ってもらうのが大事だと(記者が)考えたからじゃないか」「記者が俯瞰(ふかん)した視点から見ていて、物語を読んでいるような感じがする」といった意見を述べた。

 子どもたちが記者の考えを直接聞く場面もあった。 東日本大震災を継続して取材してきた神戸新聞社の上田勇紀記者が、まな娘が津波で行方不明になった父親を取材した記事を紹介。 「ずっと悩み、震災のことを考え続けてきたお父さんの14年間の思いを伝えたかった」と解説した。

 授業に出席した岡田晃典さん(11)は「時間がたつと、被災した人の記憶だけでなく、考えることも変わるのかなと感じた」と振り返った。

 授業は、メディアリテラシーを身に付ける目的で行われた。 担当した前野翔大教諭は「受け取った情報をうのみにするのではなく、一歩引いたところから緩やかにとらえられるようになってほしい」と狙いを説明した。


【中部経済新聞】その他の記事を読む

※見出しをクリックすると全文をご覧になれます。(全文記事閲覧と同様の課金になります)