米ぬかを原料とした機能性素材の開発などを手がける築野グループ(和歌山県かつらぎ町)は、米ぬか由来の機能性油脂「ライステロールエステル(RSE)」と「米胚芽油GX―N(GX―N)」に、それぞれ異なる味覚増強効果があることを確認したと発表した。RSEは植物性食品で甘味やコク、塩味を引き出しやすく、GX―Nは動物性食品で濃厚感を高める傾向があることがわかった。 こうした特性をもとに、プラントベース食品や動物性食品など幅広い用途への展開を狙う。
実験では、独自技術で開発した植物ステロールを含有するペーストオイルのRSEと、γオリザノールを含む半固体油脂のGX―Nを使用。 植物性クリームと動物性クリームにそれぞれを添加し、味覚への影響を検証した。 その結果、RSEは植物性クリームのような軽い風味の食品で呈味が向上することを確認した。 このため、植物性原料を使用するプラントベース食品などにおいて甘味やコクを強められる可能性がある。 また、塩味を増強させる効果もあることから、減塩食品での活用も期待できる。
一方、GX―Nでは動物性クリームのような濃厚な風味の食品で高い味覚増強効果を示した。 このため、RSEでは効果が発揮されにくい動物性原料を使用する食品での活用が見込める。
両素材は米ぬか由来で安全性が高く、抗酸化物質や植物ステロール、γオリザノールなどを含むことから、生活習慣病予防への寄与も期待される。 築野グループは今後、粉末化技術の開発を進め、食品分野へのさらなる展開を図る考えだ。