パナソニック エナジーは29日、国内メーカーとしては初めて、誤飲対策として「苦み成分」を塗ったコイン型リチウム電池を10月10日から販売すると発表した。電池本体の負極面に苦み成分の安息香酸デナトニウムを塗布した。 スマートデバイスの需要拡大でコイン型リチウム電池の使用頻度が家庭内で増加するなか、新たな取り組みを通じ誤飲事故ゼロの実現に貢献する。
電池の誤飲は、命にかかわる重大な事故につながる可能性が指摘されている。 例えば、使い切りタイプのコイン型リチウム電池やボタン電池の誤飲は、体内で化学反応を起こし、食道などの内臓に深刻な損傷を与えることがあるという。 東京消防庁によると、2020年から24年までの5年間に、5歳以下の子どもが電池を誤飲した件数は約200件に達するとしている。
コイン型リチウム電池の需要拡大とともに誤飲のリスクが高まるなか、同対策として注意喚起のピクトグラムを刻印するなどの取り組みを行っていたパナソニック エナジーは、「もう一歩踏み込んだ対策」が必要と判断。 誤飲の抑制に効果的とされる苦み成分に着目し、同成分の適切な塗布量を確認したうえで、新電池の開発に成功した。
また、新電池は使用推奨期限を従来の5年から10年への延長を実施。 家庭での長期間のストックに対応した。
新たな誤飲対策のコイン型リチウム電池は、3品種4品番を展開する予定。 メーカー希望小売価格は税抜きで1個363円、2個726円。