大気社、「植物工場」第3の柱に 建設コンサル収益化

日刊工業新聞Newsウェーブ21 2025/09/03 鉄・非鉄・エネルギー・化学 17頁 815字】

大気社は植物工場ビジネスを推進し、主力のビル・産業空調の環境システム事業と塗装システム事業に次ぐ第3の柱に育てる。完全子会社のベジ・ファクトリー(埼玉県春日部市)が運営する杉戸量産実証工場(同杉戸町)で研究開発を強化。 大気社の環境エンジニアリング技術と自社工場で蓄積した栽培運営の知見を基盤に、高収益モデルを追求し事業を拡大する。

大気社は植物工場の事業において、プラント建設から野菜の生産・販売まで一貫したソリューションの提供を可能とする。 完全人工光型・水耕栽培植物工場を「ベジファクトリー」として事業展開。 将来的には「建設のコンサルティングを収益化させる」(伊藤雅明ベジ・ファクトリー代表取締役)考えだ。

食の安全性や安定供給といった社会課題に対応しようと、大気社は研究開発を10年以上前に開始。 空調・湿度管理の技術を活用した杉戸量産実証工場を2021年に稼働した。 年間を通じて天候に左右されない室内のクリーン環境で野菜を栽培。 生産拠点は自社の杉戸工場のほか、国内6カ所の工場を持ち事業者に委託する。

出荷先は業務用でコンビニエンスストアやハンバーガーチェーンなどの外食・中食・総菜企業が中心。 一般的な露地野菜より価格は高めだが「品質変動が少なく安定的な供給が可能。 土や害虫が付かず、廃棄部分を減らし洗浄の手間も省ける」(大野翔吾ベジ・ファクトリー取締役企画部長)。 人手やスペースに制約があり衛生管理を必要とする店舗に対し、省人化や効率化で貢献する。

杉戸工場ではフリルレタスや結球レタス、グリーンリーフなどを生産する。 太陽光の代わりに発光ダイオード(LED)で育成。 栽培室は完全無人化し、土を使わず培養液による水耕栽培を行う。 自動化と独自栽培パネルシステムにより生菌数を従来工場の約100分の1に抑える。 栽培工程は種まきから収穫まで45日ほどで、1日当たり約2300株を収穫。 パレットを10段設置すれば収量は露地栽培の10倍になる。


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