ポリマーの限りない未来、そして化学の可能性を求めて−。石川県能美市に本拠を置く根上工業(西田武志社長)が、次代への持続成長を目指す取り組みを全社全域で加速中だ。 一昨年から実施してきた生産基盤強化が一定に完了、国内外で市場成長が続く次世代半導体領域へ、新規開発品の低誘電性微粒子(アートパール新シリーズ)で市場提案も開始。 広範な取引先を持つ国内に加え「韓国や台湾、中国など海外市場を改めて強化」(同社)する考えで市場や情報調査作業にも注力する。 26年夏の建屋完成を予定し本社事務棟の新整備計画も始動。 西田社長は「新事務棟完成で、職場環境の整備を通じ従業員満足度の向上を目指すとともに、より魅力的な企業として採用力強化を図りたい」と会社公式インスタグラムやYouTubeチャンネルも開設、ウェブサイト刷新など会社活動の発信力も充実させている。
高機能かつ多彩なポリマー製品を相次ぎ市場へ展開する同社。 そのエンジンとなる生産基盤強化は、今春までに本社工場反応2釜の増設、真球状架橋ポリマー微粒子「アートパール」の後処理設備と福井工場増設(反応釜)、本社の第2排水処理設備や非危険物倉庫延長と一連の計画が完了。 市場ニーズへの体制強化と製造環境の一層の改善もはかった。
昨年に開発した低誘電性微粒子は用途に応じ柔軟性と復元性、環境対応バイオマス度50%の硬質微粒子など3種類を揃え「多数の反響から多くの需要家へサンプル展開」(同社)中。 環境、熱マネジメント、省エネ化などへの貢献拡大へ高機能微粒子の市場訴求を一段と強める。 アジアや海外市場の成長を一層、取り込むべく海外展開のアクセスも人的投入強化で進めていく。
前期は売上高65億円を確保、今期(9月末)は70億円が視野に入る見通しで、さらに来期も増収と3期連続で増収基調に向かう見込み。 今後は、成長を支える基盤として、来夏に刷新される従来比、延べ床面積約4倍の新本社事務棟の建設を進めるとともに、暑さ・臭気・騒音への対策、省力化や省人化を実現する先進設備投資を計画している。