大日本印刷(DNP)は28日、生体内の微小環境を体外で模擬的に再現できる生体模倣システム(MPS)の開発に向け、筑波大学と共同研究を開始したと発表した。DNPが国立成育医療研究センターなどと開発したヒトの腸と類似した特徴を持つ腸細胞「ミニ腸」と、筑波大などが開発したMPSを組み合わせ、新薬開発の探索研究のスクリーニングや、非臨床試験で行う動物実験に代わる新たな評価システムの構築を目指す。
研究期間は7月24日から2026年5月31日まで。 DNPが製造した小腸の立体臓器モデルの腸細胞を使ってMPSを作製し、その有用性・信頼性を検証する。 ヒトの小腸と類似した特徴を複数持つDNPのミニ腸ならではの新たな評価手法についても研究する。
MPSの実用化について研究する筑波大学生命環境系・伊藤弓弦教授の知見を生かし、ミニ腸の腸細胞を搭載したMPSから研究を始める。 複数種の細胞を用いたMPSの研究にも取り組み、より生体に近く、新薬の影響をより広い範囲で予測できるMPSの実現を目指す。
研究内容については、創薬に加え、健康食品の有効成分の候補物質を探索する際の腸管吸収性の評価や代謝挙動の測定、腸管毒性の評価における新たな手法の提案などへもつなげていく考え。