トヨタ自動車と豊田中央研究所(愛知県長久手市)は28日、植物の非可食部から高効率でエタノールを生産する発酵プロセスを開発したと発表した。2社で手がけた酵母菌「トヨタザイロエース」を使用することで特定の植物由来資源(バイオマス)からエタノールへの変換効率を95%以上に高めた。 これは世界トップレベルの効率という。 同酵母菌はトヨタやマツダ、スズキなどが2022年7月に立ち上げた次世代グリーンCO2燃料技術研究組合(raBit、福島県大熊町)で技術実証を進めている。
バイオエタノールの生産ではバイオマスからエタノールへの変換効率の低さが課題だった。 トヨタと豊田中研は酵母菌の性能を高めることで変換効率の向上に成功した。 また、酵母菌だけでなくバイオマスを前処理し、糖化するプロセスにより酵母菌の性能を引き上げる。
トヨタザイロエースはバイオマスから生まれる糖のうち「キシロース」という一般的には分解しにくいものにも有効。 これをソルガムなどの植物に適用することで、高い変換効率でエタノールを生み出すことが期待できる。
同日、トヨタは福島県大熊町でraBitなどが手がけるバイオ燃料用原料作物の開発現場を公開。 同社カーボンニュートラル開発センターの海田啓司センター長は「電気や電池だけでなく、エネルギー密度の高い燃料を利用することはカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)時代にも重要になる」と話した。