日本フッソ工業、フッ素樹脂コートで帯電防止2種

化学工業日報 2025/09/01 5頁 836字】

 フッ素樹脂焼付コーティングを手がける日本フッソ工業は、帯電防止タイプの新規グレードを2種類開発した。1つ目は低抵抗と低溶出性を兼ね備えるグレードで、ppt(1兆分の1)レベルの厳格な管理が求められる先端半導体向けに提案する。 2つ目は蓄積した静電気を安全な速度でゆっくりと放電させることができる静電気放散性を持ったグレード。 適度な表面抵抗値を持つことで静電気をコントロールし、放電を防ぐ。 半導体やフラットパネルディスプレイ(FPD)分野などのニーズを取り込む。

 日本フッソ工業はフッ素樹脂焼付コーティングの業界最大手。 同コーティングは耐薬品性、耐熱性を併せ持つため、製造設備の耐久性向上に役立つ。 また、反応釜などの生産設備起因の金属成分が製品への不純物として溶出するのを防ぐ目的でも多く用いられる。 高い技術力が評価され、低メタルの管理が求められる半導体分野で、同社製品が広く採用されている。 フォトレジストや感光性絶縁膜などのリソグラフィー材料、CMP(化学機械研磨)スラリーといった半導体材料メーカー向けで圧倒的なシェアを握り半導体製造装置向けの引き合いも強いという。

 低抵抗と低溶出性を兼ね備える新グレードを最先端の極紫外線(EUV)領域に提案する。 従来の帯電防止品は抵抗値を下げるために利用する材料などが溶出起因となる懸念があり、不純物管理が求められる最先端領域で使いにくい側面があった。 今回、独自技術によって低抵抗と低溶出性を両立し、最先端領域で使用できる帯電防止グレードを実現した。 漏洩抵抗値は10の8乗オーム未満で安全かつメタルの溶出も抑えられる。

 一方で静電気放散性を持ったグレードも開発した。 表面抵抗値を制御することで静電気をコントロールし、静電気放電(ESD)リスクを抑制する。 半導体分野に加え、FPD分野でも静電気放散性のグレードが適する用途があるとみて、ニーズを探索していく。

 2製品を9月17日から始まる「インケム東京2025」(東京ビッグサイト)で展示する。


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