フルヤ金属、継続的な人材確保に向け初任給引き上げ

化学工業日報 2025/08/29 13頁 881字】

 フルヤ金属は、継続的な人材の確保を目的に初任給を改定した。2025年7月から大学院卒の初任給を31万2000円、大学・高専専科卒を30万円、短大・高専本科卒27万9000円、高校卒を25万5000円とした。 いずれも改定前より大幅に引き上げた。 「生産拠点のある茨城県や北海道・千歳市での雇用増を実現したい」(同社)。 既存の社員に対しても月額1万5000円のベースアップを実施し、全社的に給与水準を引き上げた。

 企業の持続的な成長の実現に向けた人材確保が課題となっている。 とくに、生産現場を担う高卒人材は求人倍率は近年非常に高くなっており「今後も採用が難しい状況が続く」と考えられている。

 フルヤ金属は、希少金属であるプラチナグループメタル(白金族金属、PGM)製品の世界大手メーカー。 南アフリカ鉱山との資本提携による安定的な地金調達を起点に、独自技術による溶解や加工、リサイクルといったPGM製品の一貫チェーンを確立している。 近年、PGMや石英を使用した半導体・エレクトロニクス関連品の需要が増加する。 つくば工場(茨城県筑西市)、土浦工場(茨城県土浦市)では継続的な設備投資を計画するほか、26年7月には北海道千歳市の新工場が稼働する。 安定的な生産体制を確保するためには「製造現場を担ってくれる高卒・高専卒の社員については、従来より2倍以上の求人を実施する必要がある」。

 今回の給与改定について同社では、「とくに高卒の初任給は全国的にもトップレベルの水準に引き上げた」と話す。 これまで、高卒人材は各工場の周辺地域での採用が中心であったが、今後は、幅広い地域で訴求し「当社の本気度を示したい」。 合わせて社宅制度など働きやすい環境も整備していく考え。

 また、休日数を124日と改定、完全週休2日制を実現した。 既存社員に対し昨年より、ストレスチェックに合わせエンゲージメント調査を実施しており「各業務の負荷などを定量化かつ必要ならば改善し定着率の向上につなげる」考え。 同社では、中堅人材の確保も課題とする。 今後、各業務での求められる各層の人材確保に向けた取り組みを実施していく。


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