北陸特集 第一稀元素化学工業、事業所の3方針一層浸透

化学工業日報 2025/08/29 10頁 870字】

 2032年3月期までの中期経営計画『DK−One Next』で、「100年企業」に向けてまい進する、ジルコニウム化合物世界トップメーカー第一稀元素化学工業。同計画最終年度に売上高500億円以上、営業利益75億円以上を目指し、半導体・エレクトロニクス、ヘルスケア、エネルギーの3戦略分野へ積極的に投資する。 2032年3月期には、戦略分野に新規事業を加えた売上高を、全体の50%にまで引き上げる。

 重要な役割を果たすのが、生産を担う福井事業所(福井県・テクノポート福井内、丸本直志福井事業所長)。 着任3年目を迎えた丸本所長は事業所に所属する約150名全員へ「(1)ものづくりの質を高める(2)人の質を高める(3)家族に誇れる事業所になる」(丸本所長)方針のさらなる浸透を目指し、従業員一人ひとりとの対話を重ねてきた。

 加えて今春の組織変更にともない、若手・中堅社員の管理職(係長・課長)を増員。 従来以上に深く上司と部下のコミュニケーションが図れるフラットな組織とした。 「何より、従業員と向き合うことが重要。 それが結果的に生産性アップ、労災防止などにつながる」(同)と、就任以来一貫した「人」への思いを語った。

 また丸本所長は今期より、テクノポート福井企業協議会が設置するGX推進委員会の副委員長に就任。 「できることを着実に積み重ね、将来的にはテクノポート福井全体のブランド力を高めたい」(同)と意欲的だ。

 同社製品も、中期経営計画の推進に寄与する。 リチウムイオン2次電池の長寿命化と安全性向上へのニーズが高まる中、同社の正極添加剤用ジルコニア材料「DKZ−366」(製品名)が注目を集めている。 本製品を添加することで、理想的に正極材を保護し劣化を抑制。 コインセルを用いた同社の実験では、約40%もの電池長寿命化が確認できた。 加えて製品中の金属異物含有量を従来の10分の1以下(同社比)とし、充放電中の金属異物の溶出・短絡による異常発熱や発火リスクを大きく低減。 とくに大容量の用途で効果が際立つことから、同社は電気自動車など車載用に積極展開していく方針だ。


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