断熱リフォーム推進 住設業界一丸

化学工業日報 2025/08/29 2頁 1032字】

 世界的な気温上昇の波がとどまるところを知らない。世界の平均気温は、2024年に産業革命以前より1・5度C以上高まったと報告されている。 日本では今年7月30日に兵庫県丹波市で41・2度Cと最高を更新。 その約1週間後の8月5日には41・8度Cの群馬県伊勢崎市などが、さらに記録を塗り替えた。 今週も残暑は厳しい。 過去には9月に入ってから年内の最高気温を更新したケースもある。 まだまだ油断はできず、来年以降も不安はつきない。

 23年7月に国連のグテーレス事務総長が「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と述べてセンセーショナルに報道されたが、大げさな表現だと捉えるべきではないだろう。 欧州はエアコンの普及率が10〜20%しかなく、夏の高温下で23年に4万7000人、24年も同等かそれ以上の熱中症死者が出たという。 こうなるとエアコンは快適な暮らしのためだけでなく「生き抜くために必須の道具」だ。

 だからといって闇雲にエアコンを使い続けられるものでもない。 エアコンは外気に高温の熱を排出し、CO2排出増加を招く。 家計にも響く。 そうしたなか、住宅設備業界が一丸となって断熱リフォームの重要性を訴える動きが強まっている。

 7月3日には日本サッシ協会加盟の三協立山、不二サッシ、LIXIL、YKK APが連携して、窓の有用性や補助金制度についての認知度を高めるため「快適な住まい情報室」を設立した。 次いで同30日には住友不動産、三協立山、LIXIL、YKK AP、住友不動産ハウジングと、2つの業界団体が団結して、住宅の断熱リフォームの普及を進める「断熱・省エネリフォーム推進タスクフォース」を立ち上げた。

 かつては冬の寒さをしのぐためと思われた断熱だが夏の重要性も高まり、一年を通じて貢献する。 窓リフォームのような比較的簡便な方法で快適な住まいを手に入れられるうえ、エアコンの使用量抑制による光熱費やCO2排出量の削減も期待できる。

 実は今年は、23年から始まった3省合同による補助金事業「先進的窓リノベ事業」の最終年度。 断熱リフォーム工事費の半額補助、上限200万円の補助を受けられる。 電気代などで「元が取れる」ことを考慮してもメリットが大きいが、予算消化率は7月末時点で、ようやく2割程度。 認知度が高まっていない。 健康を守るためにも地球を守るためにも、住宅の高断熱化が貢献できることを、より多くの人が理解し、補助金というチャンスを生かして断熱リフォームを実行してほしい。


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