主体的な学びが実現/全校生徒が記事スクラップ

中部経済新聞 2025/09/02 特集 12頁 666字】

 兵庫県西宮市立浜脇中学校は、全校生徒約800人が各自で「NIEノート」(記事スクラップ)を制作している。公開授業では、渋谷仁崇主幹教諭が「いつも通りやりましょう」と呼びかけ、3年生の生徒がそれぞれ切り抜いてきたニュースについて発表し合った。

 ある男子生徒は、ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする地震を巡り、総務省が情報の信ぴょう性に注意を呼びかけたという記事に注目。 インターネット上で自身が住む地域に「津波警報が出ている」と目にしたが、実際は津波注意報で、「善意の拡散がこうしたデマを生む。 メディアリテラシーは、自分の命を守るために大切だと感じた」と述べた。

 発表が一巡すると、渋谷教諭は、新たに配布した新聞紙から「熱いものを探してみよう」と提案。 生徒たちが熱中症対策や地球温暖化に関する記事を挙げたのを確認した上で、「こんなふうに社会って全部つながっている。 さらに新聞には、命を守るアイデアもたくさん載っている」と話し、「熱中症保険」などの取り組みを紹介した。

 授業の最後には、生徒から「今までの活動の力が発揮できた」「NIEの授業がなかったらニュースに興味がなかった。 最近は『このニュース、授業で考えたことあるな』と思う機会が増えた」などの感想が出た。

 渋谷教諭が「僕は何も(加えて)言うことがありません」と言って授業を締めくくると、助言者の西宮市教育委員会の秦淳也教育次長は「授業が終わった後、『何も言うことがない』と、僕も言ってみたい。 まさに現行の学習指導要領が進めている、子どもたちの主体的な学びが実現されていた」と総括した。


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