森六は、高分散カーボンナノチューブ(CNT)マスターバッチをシリコーンゴムに練り込んだ「柔らかい導電ゴム」の提案を開始する。導電性と柔軟性を両立しており、医療機器その関連および産業機器などへの採用を見込んでいる。 11月からサンプルワークを始め、2026年から供給を開始する方針だ。
CNTマスターバッチはさまざまな樹脂に練り込むことで導電性や熱伝導性、フレキシブル性、電磁波シールド、電波吸収などの機能を付与できる。
森六はパートナー企業の片野ケミカルズ(埼玉県)と連携し、多層の高分散CNTマスターバッチの研究・開発を行っている。 両社は多層CNTの課題だった分散性の悪さを解決する製法を開発することで導電性を向上、単層CNTと比べ遜色ない性能を発揮できるようにしている。
現在、樹脂やフィルム、ゴムなどのメーカーへのサンプル供給を実施している。 用途の一つとして、キャリアテープに使用されているカーボンブラックからの代替を見込んでおり、シートでの販売も検討している。
今回新たに提案を開始する柔らかい導電ゴムは、シリコーンゴムに同社のCNTマスターバッチを練り込んだコンパウンド。 カーボンブラックを使用する場合、導電性を確保するために多量に添加すると柔軟性が損なわれるという欠点があるが、CNTマスターバッチでは少ない使用量で柔軟性と導電性を両立することができる。
同社はこのコンパウンドの主な用途として、ソフトスイッチングやロボットアーム、ウエアラブル機器、タッチパネルなどへの利用を想定、医療およびその関連分野や産業分野、農業分野など広範な市場での活用を見込んでいる。
同製品は11月に実施される展示会への出展後にサンプルワークを始め、26年から供給を開始する予定となっている。 コンパウンドと同時に、同コンパウンド用に開発したCNTマスターバッチも販売していく考え。