ポリプラ・エボニック新社長、最適な提案力強み

化学工業日報 2025/08/29 2頁 1300字】

 ポリプラ・エボニックは、独エボニックと日本のポリプラスチックスの折半出資によるエンジニアリングプラスチックメーカー。主として、日本に持ち込んだエボニックのポリアミド(PA)12やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)をベースに、日本のニーズに合わせ込む開発、生産プロセスを経たうえで、多様な市場の要求に応えている。 3月から同社の舵を取るヴィトー・ラヴィーニ社長は、「日本は経済大国の一つであり、オートモーティブの市場としても大変重要な国」と述べ、強力な販売力を持って自動車分野をはじめとした各種産業を一層深耕していく決意を語る。

◎…御社の強みをどう評価していますか。

 「一つはスピードだ。 顧客の近くで、競合他社よりも素早くフレキシブルにソリューションを提供できるし、それぞれの顧客に向けてカスタマイズして届けることもできる。 加えて重要なことは、網干工場には生産だけでなく、テクニカルサポートの機能ももつ。 それによってクオリティの高い、よりクリエイティブな製品をお届けできる。 新しい製品を顧客とともに開発することも含め、ローカルとしての強さを発揮できている3つ目が最も重要なことだが、本当の顧客のニーズに応えられる当社の従業員だ。 さまざまな国で働いてきたが、これまで体験したことがないストロングコミットメントをもったチームだ」

 「合弁企業であることのアドバンテージの一つは、双方の親会社のリソースにアクセスできること。 製品はエボニックから送られているが、ダイセル、ポリプラスチックスの研究施設も活用できる。 ポリプラスチックスが親会社になったことで、その射出成形に関する知見には非常にアクセスしやすくなっており、連携して顧客提案することも行っている」

◎…事業環境をどうみていますか。

 「電気自動車(EV)を取り巻く環境にはさまざまな動きがあるが、必ず本格拡大期が到来すると信じている。 中国ではすでにEVが浸透しているし、日本はインフラ整備に課題があるが、そのうち解決するだろう。 水素についても欧州では家庭用電力やトラックの燃料としては一部で使われ始めている。 マインドを環境コンシャスなものに替えていくべきタイミングにきており、想像しているより急速に広がっていくのではないか」

 「PA12はエボニックがリーディングカンパニーだ。 以前は供給能力不足でニーズに応えきれなかったこともあったが、ドイツで増強しており、競争力にも優れるため、自動車向けも3Dプリンティング向けも伸ばしていける。 分離膜は窒素や水素の需要が高くなっており、特殊フォーム『ロハセル』も軽くて高耐熱という特徴ある製品として航空宇宙分野での採用拡大を図っていく」

◎…年内に網干工場を移転されます。

 「ダイセルの姫路製造所網干工場内で広い土地に移り、分散していた製造、研究開発、品質保証、倉庫などについて、より効率的な体制に組み替える。 これまでペレットで供給していた歯科材料向けPEEKでは、切削用のブロックまで手がけ始めており、近く量産設備を導入する。 偏光サングラス向けのフィルムも含めて設備投資を検討し、一層の成長につなげていく」(聞き手=関口裕介)


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