昭光通商が今年2月に発売した、自然に土に還る農業用生分解性マルチフィルム「ネイチャーマスター」が、発売から半年で累計1000本の出荷を達成した。すでに在庫は終了しており、現在は9月末出荷分の製造を進めているという。 多くの注文に対応するため、今後は製造本数を増強する計画だ。
ネイチャーマスターは、土壌中の微生物によって一定期間で分解され、自然に土に還る環境に優しいフィルム。 この機能により使用後の回収や産業廃棄処理が不要となるため、通常のマルチフィルムと比べ農家の生産性が向上する。
同社独自の原料選定と成分配合、成形技術により、生分解期間の調整力に特徴があり、機械展張時の強度、耐久性、光沢、高保湿性なども評価を得ている。
主な出荷地域については北は新潟から南は熊本までで、全国各地で導入されている。 作物としてサツマイモやサトイモ、トウモロコシ、ジャガイモ、タマネギ、レタス、ニンニクのほか、ニンジンやカボチャにも問い合わせがあるという。
導入した農家からは、機械展張がしやすいことや、マルチフィルムの光沢、分解速度などが評価されている。 農業就業者の減少が続くなか、現場の省力化や生産性向上に貢献する生分解性マルチフィルムの需要が高まっており、行政も補助金制度などを通じて導入を後押ししている。
同フィルムは従来のマルチフィルムと比較すると高価格だが、その利用を通じて回収のための労力や廃棄コストが不要なことを実感するケースが増えているという。
また同フィルムの分解速度は作物の生育や収穫時期に直結する重要な要素となるため、その特性を生かし農家のニーズに応える製品作りを進めている。
今後の取り組みとして、同フィルムの普及に向けた展示会への出展やSNSでのPR活動を推進していく。 さらに手軽に購入できるよう、ECサイトを活用した販売網の構築を進めていく方針を掲げている。