リンテックは28日、徳島県の小松島工場で合成皮革用工程紙向けの広幅対応の新塗工設備の導入が完了、9月から稼働を開始すると発表した。投資額は新工棟の建設を含め48億円で、8月に完成した。 広幅ニーズの高い自動車の内装向けの需要拡大に対応し、今後インド、中国、欧州、北米など海外市場を中心に販売を強化する。
同社が提供する工程紙(剥離紙)は靴やバッグ、衣類、家具などに使われる合成皮革の製造工程で本革のような表面の質感を再現する型紙の役割を果たす。 昨今は素材としての扱いやすさや軽さ、機能性、動物愛護の観点からも合成皮革が注目され、同社も顧客対応力や競争力強化が急務となっていた。
今回、太陽光パネルを備えた新工棟が小松工場内に完成した。 新塗工設備は自動車内装向けに対応した広幅で高速・高精度の塗工が可能。 水系の塗工設備で有機溶剤を使用せず揮発性有機化合物(VOC)排出量の削減に貢献する。 これにより従来の1・5倍の生産を計画できるようになる。 また塗布する剥離剤の調合や原紙・製品の入出庫を含め自働化を徹底、省人化、効率化を図っている。
今後、新設備の強みを生かし、広幅仕様中心に工程紙の増産を目指す。 マット調やグロス調といった表面の光沢感や質感が微妙に異なる高品位な合成皮革製造に対応したラインアップを拡充し、新規需要を取り込んでいく。