住友重機械工業グループの住友重機械プロセス機器は、縦型の粉体撹拌装置「LODEMBLEND(ロデムブレンド)」を開発した。粉体撹拌装置で主流の横型に対し、縦型を実現したのは業界初。 横型では困難だった大型化に対応するほか、少ない力で均一な撹拌を実現する。 機能化学品のサンプル生産などに採用され、スケールアップ機への引き合いも得ている。 初年度1億円、以降は年間1億円ずつ上積みするペースでの拡販を目指す。 全固体電池や半導体などの先端材料開発で拡大する固体撹拌ニーズを開拓する。
同社の撹拌装置は、約40年間で国内外2000基以上の納入実績を有する。 これまで液体リッチな材料を対象に撹拌・混合装置を展開してきたが、新製品では新領域となる粉体・ペレットなどの固体材料を対象とする。 高湿度、高粘性、乾燥性、粒状、繊維状と多様な粉体性状の撹拌に対応。 ケミカルリサイクルの撹拌工程では、粉体撹拌機を用いることで溶剤使用量を低減でき、消費エネルギーの低減も期待できる。
粉体の撹拌装置は横型が一般的だが、大型化のために翼を増やすとその重みで軸がたわむ一方、翼の軸を太くすればより多くの駆動電力が必要になる。 これに対し新製品では、縦型とすることで横型比で5倍となる最大10立方メートルまでの大型化が可能。 翼は不連続な翼と下部翼の構造の異なる2種類を採用し、翼のサイズを槽内壁とある程度のクリアランスを設ける設計とした。 これにより材料の目詰まりを抑制し、少ない力で均一な撹拌を実現した。
処理速度は一般的なスパイラル形状翼に比べて半減できることを社内試験で確認している。 またスパイラル翼は、形状の複雑さに加えて槽内径と翼との間隔が狭いことで製作の難易度が高いが、今回の翼は製作が容易で装置全体での導入コストを抑制できる利点もある。 さらに、材料は撹拌槽の下部に設けられた排出機構から容易に取り出すことができる。 最下段の翼には傾斜をつけており、高価な材料も効率よく回収できる。
これまでにパルプ溶解工程のスケールアップでの引き合いを得ているほか、ポリマー粒子の高機能化工程のサンプル生産に採用された。 社内模擬試験では数百マイクロメートルのポリマー粒子100リットルに対し、30秒での着色を実現し、高性能が確認されている。 この結果を踏まえ、数百リットルのパイロット機を今年度内にも納入予定。 さらに5立方メートル、10立方メートルへのスケールアップも見込む。
同社は撹拌のほかにも蒸留、反応をはじめとする化学プロセスにおけるコア技術を有しており、プラント建設の初期計画から設計、建設工事、アフターサービスにいたるまでのプラントエンジニアリングを一貫して手がけている。 新型撹拌槽もレンタルからプラント建設まで多様な納入形態で提案していく。