一丸ファルコス、安全性優れたバクチオール実現

化学工業日報 2025/09/01 6頁 1152字】

 一丸ファルコス(岐阜県本巣市)は、植物由来のレチノール類似成分「バクチオール」を市場投入する。バクチオールは化粧品原料として抗老化作用が確認されているが、輸入品が中心で仕入れ単位の大きさや安定性、安全性に課題があった。 新製品は、自然指数1・0を取得していることに加え、不純物を低減して澄明度を高め、安定性を向上させたのが特徴。 0・5キログラムからの少量販売にも対応する。 エイジングケア化粧品や自然派化粧品などに提案し、レチノール代替として採用拡大を狙う。

 バクチオールはインド原産の植物「オランダビユ」の種子から得られる成分。 シワ改善や保湿、抗炎症作用などレチノールと同等の機能を持ちながら、刺激が少なく敏感肌の人でも使いやすい原料として知られる。

 新製品「バクチオール ピュア プラス」を8日に発売する。 従来バクチオール原料は溶剤による抽出が中心だが、バクチオール ピュア プラスは、超臨界流体(CO2)抽出製法を使用しているため、安定性に優れ、残留溶剤の心配もない。 また、インドの協力会社と原産地の州生物多様性委員会との間で、生物資源の商業利用に関する契約を締結ずみで、トレーサビリティも確保している。

 バクチオール自体は比較的刺激が少ない成分だが、オランダビユの種子には光刺激性のある成分が含まれることが指摘されている。 これに対して同社は、同抽出製法による安全な抽出・精製に加え、自社で安全性データを取得するなど、きめ細かなサポートにより顧客の不安を払拭する考え。

 バクチオール ピュア プラスの機能性も確認している。 表皮細胞を用いた試験では、レチノール誘導体と同様なレチノイン酸受容体の発現挙動を示し、レチノール様作用を確認。 表皮の角化や保湿の関連因子であるインボルクリンやフィラグリン、セラミド合成酵素、ヒアルロン酸合成酵素などのメッセンジャーRNA(mRNA)発現量を大幅に増加させることも突き止めている。

 30〜60代の男女を対象とした試験では、0・5%バクチオール ピュア プラス配合オイルを顔と首部に1日2回、4週間塗布し、試験前後の肌状態を確認した。 その結果、コントロール群に比べ、バクチオール ピュア プラス塗布群では、水分量の維持(保湿作用)が認められた。 首のシワの大きさを解析すると、バクチオール ピュア プラス塗布群で有意なシワ改善作用も確認できた。

 レチノールはエイジングケア原料として有名だが、多くは合成品であり、刺激性や安定性に課題が残る。 同社は「バクチオール ピュア プラスは、自然指数1・0を取得しており、オーガニック・自然派化粧品向けに強く訴求できる。 レチノールよりも刺激が少ないため、敏感肌向けなどにも提案していく」と強調した。 独自技術を使った水系への安定配合目的のナノミセル化なども対応可能だという。


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