1928年に石川県金沢市で石炭の卸売から始まった複合商社の三谷産業は、現在は6つの事業領域で多様な商品・サービスを提供している。
同社は解体技術分野で最大手のベステラ(東京都江東区)と2022年に業務提携し、「ガスタンク」と呼ばれる球形ガスホルダーの解体に必要となる塗膜剥離に取り組んできた。 そして両社は7月、ガスホルダーに用いる「表面処理装置および表面処理方法」に関して共同で特許を出願した。 同工法は、ブラストマシンがガスホルダーの外周を自動で水平に周回し、最短距離かつ高精度で施工を行うため、施工時間、ダスト量、産廃処理費を大幅に削減する。 施工面はマシンが覆うため、粉塵や有害物質の飛散を防ぎ、作業員や周辺環境への健康・環境リスク低減にも配慮した。 PCB含有塗材が用いられたガスホルダーは多数残存しており、タンクの解体に際し事業者にはPCB含有塗膜の適正な処理が強く求められている。
なお、三谷産業の技術は、原発施設におけるブラスト処理にも採用実績があり、ガスホルダーに限らず建造物に付着する有害物質・塗膜の除去にも活用していく。
一方、社会インフラの全国的な老朽化に伴う事故が散見され、メンテナンスを求める声もあがりつつある。 そうしたなか、三谷産業グループのアウロステクノロジーズ(石川県白山市)がプラズマ表面改質技術を活用して開発した「APLASシート」とそれを用いた「APLASシート工法」が注目される。 同工法は、老朽化インフラの床板・橋脚・柱・梁等を対象とした補強工事の工期短縮とコスト削減を図ることができる。 APLASシートにはすでに樹脂が含浸しているため補強対象に簡単に貼り付けられ、現行工法の炭素繊維接着工法で必要とされている一部の施工工程が不要となることから、直接工事費の削減が期待できる。 施工試験の検証結果では、現行工法と比べて作業時間を約40%短縮できることを確認している。 この成果により国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」に登録された。 本技術は、駅ホームや道路橋の床板補修工事に採用され、これを皮切りに実績拡大を目指す。