北陸特集 東ソー・富山地区、先端事業支える拠点集積

化学工業日報 2025/08/29 8頁 855字】

 東ソーグループの成長を担う先端事業の製造・加工拠点が集まる富山地区。東ソー・富山事務所には東ソー・ゼオラム、東ソー・セラミックス、東ソー・エイアイエイが、近隣の射水市には燐化学工業が立地する。 いずれのグループ会社も差別化技術を生かして、付加価値の高い製品を供給している。

 富山事務所の顔ともいえるのが2022年6月にリニューアルした事務所棟。 エントランスホールはグループ各社のブースとともにシンボルオブジェの「ケミスツリー」が目を引く。 屋根には太陽電池を設置しており、事務所の電力を賄うだけでなく、夏場などには工場で消費する電力の一部を供給している。

 東ソー・ゼオラムは吸着・分離精製向けローシリカゼオライト「ゼオラム」の生産、ハイシリカゼオライト「HSZ」のペレット成形を手がける。 バインダー成分をゼオライト化(バインダレス化)し単位当たりの吸着性能を高めた製品などを有し、環境関連用途の開拓に力を入れている。

 世界トップシェアを誇るジルコニア粉末の加工、射出成形用コンパウンドの製造を行うのが東ソー・セラミックス。 装飾用のカラージルコニアコンパウンドを製造する新鋭の第9工場の本格稼働を目指すとともに、高強度透光性ジルコニア加工品の市場投入にも取り組んでいる。

 東ソー・エイアイアイの主力製品は、バイオサイエンス事業部で展開する免疫診断事業のAIA試薬と、より高性能なAIA−CL試薬。 AIA−CL試薬については日欧での販売数量が増えており、24年度には中国で一部検査項目を上市、25年度中には米国でも上市予定。 検査項目も順次増やしており、25年7月にはHIV Ag/Ab(感染症)を国内で上市した。 さらにAMH(婦人科)を25年度中に国内上市する予定。

 燐化学工業は黄リンを原料として乾式法でリン酸を製造する。 高純度精製技術などを駆使して食品添加剤用などの汎用品に加えて、半導体エッチング用高純度リン酸を供給している。 26年の創業100周年に向けて「R100プロジェクト」を推進中で、厚生棟の新設などを計画している。


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