ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業は、横浜国立大学と共同で、日焼け止めが肌から剥がれるようすを可視化することに成功したと発表した。可視化したことで日焼け止めの汗による剥がれ方が4つに類型化されることを見いだした。 今後、目指す日焼け止め処方タイプに応じた対応策を図っていくことで、感触の良さと耐久性を両立する日焼け止め処方設計に活用していく。
ポーラ化成工業は、日焼け止めの耐久性を評価するために非侵襲で肌の表層を数マイクロメートルレベルの解像度で観測し続けることができるOCT(光干渉断層撮影)技術を改良することで、これまで不可能だった「肌上でのリアルタイム観察」を実現した。 肌に塗布した日焼け止めの膜を連続的に観察することで汗によって崩れていく仕組みが解析でき、その改善策の研究が可能となった。
自社改良したOCT技術を用い、異なる処方の日焼け止め製品10種類について、汗に対する挙動を調べたところ、従来の評価法では見えなかった特徴が明確となり、日焼け止め膜の剥がれ方が「溶解型」「剥離型」「分裂型」「保持型」の4タイプに分類できることが分かった。 理想的な日焼け止めに必要な要素は、(1)水になじまないこと(2)膜が強靭で均一であること(3)肌への密着性が高いこと−の3点が挙げられ、各タイプごとに異なると考えられる。
さらに、同グループではより簡便に効率よく評価するために人工汗を用いた日焼け止め膜の変化を評価する方法も開発した。 実際の運動をともなう方法と、人工汗を使う方法とで、日焼け止め膜の持続性を比較したところ、両試験法で処方間での変化の仕方が類似していることを確認しており、今後は人工汗を使うことで数多くの処方が評価でき、迅速にメカニズム解明に取り組むことができると期待できる。
改良したOCT技術は日焼け止めにとどまらず、スキンケア製品の膜の状態やメークアップ膜の崩れにくさの評価など機能設計や感触改善などにも利用する計画。