百貨店おせち、独自の工夫競う 巣ごもり傾向 購入意向8割

日刊工業新聞Newsウェーブ21 2025/08/29 鉄・非鉄・エネルギー・化学 22頁 893字】

大手百貨店による2026年正月おせちの予約が9月から始まる。価格帯は高級品から手ごろな品まで幅広く取りそろえるのが定着しており、各社はその上で独自の工夫を競う。 年末年始は最大9連休となるが、物価高や円安の影響で旅行需要は伸び悩むとみられ、家庭で過ごす時間が増えることを見込み、飽きさせない商品が並ぶ。

高島屋は1万円以下で楽しめる独り暮らし向けの「ソロ活おせち」(消費税込み6480円)や「食育おせち料理(絵本付)」(同5000円)を提案する。 食育おせちは、食材の由来が絵本で分かる。 「次世代にもおせち文化を伝えたい」という思いからメニュー化し、子育て世代のほか、大人数で集まったときに子どもだけこのメニューを選ぶといった需要も見込む。 食育おせちは子育て支援施設にも寄付する。

東武百貨店は肉料理を詰め合わせた恒例の「肉おせち」を販売する。 「ギルティオードブルおせち一段」(同3万5640円)は総カロリー7500キロカロリー超で、成人男性の1日分摂取目安の3倍弱に当たる。 今年は背脂ソースを付けた。 「若い人から年配者まで誰でも食べられる食材で、楽しい正月を過ごしてほしい」とする。

そごう・西武は「和」「洋」「中」が味わえる四段重(送料・消費税込み2万3220円)や100品目を詰め合わせた二段重(同2万1384円)を手頃価格で提供する。 食材を直接仕入れるなどして価格を抑えた。

9月の西武池袋本店デパチカ改装オープンを記念し、出店するブランドによるおせちも用意した。 マカロンやケーキだけをつめた「スイーツおせち」(同2万4200円)は新年最初のティータイムを彩る。

松屋は松屋銀座開店100周年にちなみ、史上最高価格の100万円おせちを発売する。 有田焼唯一の禁裏御用窯元「辻精磁社」と、日本料理の名店「青草●」(●は穴かんむりに果)と協働した。 販売は9月6日から30日まで。

松屋の調べによると、元旦の過ごし方は「親戚や家族で集まって過ごす」と答えた人が全体の9割を占め、巣ごもり傾向が浮かび上がった。 おせち購入意向は8割と前年より増えたが、平均予算は1000円ほど減少して2万2049円だった。


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